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第29回 天地人あらすじ「天下統一」7/19
大河ドラマ天地人 第29話「天下統一」(7月19日放送)
天正17年11月、秀吉は、北条氏に宣戦布告。
上杉景勝(北村一輝)は、戦を前に
家臣一同の前で告げる。
「よいか者ども、
この戦を、上杉家最後の大戦と心得よ!」
「おおーっつ」と気勢をあげる家臣たち。
----
景勝と直江兼続(妻夫木聡)、
まだ雪の降る外を見ながら、
「関東とは、どのような所でございましょうな。
御屋形様や、信玄公でも落とせなかった
小田原城とは」
「共に出陣したかったのう」
「はい、阿部殿や、吉江様たちが生きていたら
さぞ喜び勇んだ
ことでございましょう」
-----
お船(常盤貴子)が、兼続に
何やら手作りの布袋を持ってきた。
「これでよろしうございますか」
「おー。立派な出来じゃ。
早速身につけるとしよう」
「手伝いましょう」
「うん」
肌に直に身につける兼続。
「私からは、お守りなどは
差し上げませぬぞ」
「なんじゃ、薄情な」
「何も差し上げずとも
必ずや旦那様は生きてお戻りになる。
私は、そう信じておりますがゆえ」
「お船。。。」
「できました」
「留守を頼むぞ」
「一切、ご案じなきよう」
「長い戦になろう。。。」
お船を抱き寄せる兼続
「お松を。。。皆を頼む」
「はい」
「仲間とともに参る」
胸元の布袋に手をやる兼続だった。
-----
上杉軍は途中、真田軍、前田軍と
合流し、北国勢として3万5千の軍勢で
北条の松井田城を取り囲んだ。
一方、秀吉軍も
14万の大軍をもって、小田原城を
目指して東海道を進んでいた。
-----
小田原城では、北条氏政(伊吹吾郎)が、
「小田原城は難攻不落。
天下広しといえども、この城を
落とせるものはない」と自信満々。
遠山康光(螢雪次朗)もそれを受け、
「さよう、11万の大軍をもって攻め来た、
上杉謙信とて追い返したのでございます」
北条氏直(神木優)は心配そうに
「しかし、父上、
敵は20万の大軍と聞き及びます」
「大軍おおいに結構。
あっという間に兵糧が尽き、
自分の首を絞めることとなるわ」
「徳川殿との盟約もある上、
奥州では、伊達も気骨を見せております」
「この戦、一月とは続かぬやもしれぬ」
-----
松井田城の籠城は一カ月以上続いていたが、
ついに、松井田城の城主、大道寺正繁(ささきいさお)
が降伏してきた。
「それがしの命に代えて、城に残る
家来どもの助命を、
伏してお願い申し上げる」
前田利家はこれを了承し、
「あいわかった。我らもこれ以上
無用の血を流すつもりはござらぬ」
ほっと安心した兼続は、配下の者に
目配せし、酒を用意させる。
「どうぞ召し上がられよ」
「敗軍の将となれば、切腹もゆるされぬのか」
無念そうな大道寺正繁。
「まさか、毒が仕込んであるとでも思われたか」
兼続は、杯をとると、自ら飲み干した。
「敵ながらあっぱれな戦いぶり。
わが主より一献差し上げたく、
用意したものでござる。
越後自慢の酒でござれば、
是非、ご賞味あれ」
それでも飲もうとしない大道寺正繁に、
「ご案じ召されるな。
まもなく配下の者がご城内に
酒と握り飯を運び入れまする」
驚き、感激する大道寺正繁
「まことにございますか」
「かたじけのう、ござりまする」
と、平伏する。
:
その夜、前田利家(宇津井健)、
真田昌幸(岩松了)、上杉景勝、
直江兼続が酒を飲み交わしている
前田利家が感心している。
「敵に礼節をもって接する。
あれぞ上杉の心意気であるな」
「は」
「力によってねじ伏せられたものは、
いつかそれを跳ね返そうといたします。
しかし、真心を持って扱われし者は、
心で返してくれましょう。
これからの世は、
心に響き合うことこそ肝心かと」
「うん、確かにその通りかも知れぬな。
いやあ戦に明け暮れておった自分には
考えたこともなかったわ」
「ま、さすが上杉。
ご立派な話ではございますな」
と真田昌幸。
-----
小田原の秀吉の本陣。
「これ、待て待て茶々。
これ茶々」
茶々をなだめようとする秀吉。
「こんな城、つまりませぬ」
茶々は機嫌を損ねて、わがまま
を言い放題。
「これこれ茶々」
「まだでき上がってもおらぬでは、
ございませぬか」
「すごいものを見せてやると仰ったから
わざわざ参ったというのに」
「あせるでない、あせるでない
もう、あと幾日でもないわ。のぅ。
おもしろいものを見せてやるでの」
「こんな森の中じゃ何も見えませぬ」
「もちーっと、もちーっとの辛抱じゃ
あの木を今切るわけには参らぬのじゃ」
そこへ、徳川家康(松方弘樹)がやってきた。
茶々をよそへやると、
家康に話しかける。
「貴殿においで頂いたのは、他でもない。
伊達の子倅のことよ。
参陣せよと再三使者を遣わしておるが
未だ返事がない。
貴殿から説得してくれぬか」
「それがしも、
もう何度も書状を送っておりますが」
「北条を下す前に伊達が。。。
伊達がこのようでは。。。。
他の手を考えねばならんでのう」
「それがし、今一度、催促いたしましょう」
「うん、頼む。頼む」
-----
直江兼続は、松井田城陥落の報告のため、
小田原にやってきた。
兼続は、小田原城と、それを囲む大軍勢に
驚き、感銘を受ける。
兼続に自慢する秀吉。
「これほどの戦を采配できる者など、
古今東西、どこにもおらん」
「その上、あのような城まで。。」
「うん。
あー、兼続、ここへ来い!」
兼続を近くに呼び寄せる秀吉。
「見よ!
わかるか、何故わしが、この森の中に
こっそりと城を作っておるのか」
「はっ、難攻不落の小田原城を
力で攻めても、敵味方、
ともに犠牲がでるばかり」
「んー」
「されど、小田原城を見下ろすあの城が
一夜にして現れれば、敵は驚き
心をくじかれ、戦う気力を失いましょう。
さすれば刃を交えずとも、
戦、消しまする」
「さすがじゃのう、兼続」
「やはり、呑み込みが速いのう。
この世は金じゃ。
金で人は集まる。
金あらばこそ、城も建ち、戦も決する。
それで世がやすらかになるのであれば、
わしは、いくらでも金を使う」
「お見事なるご軍略と心得まする」
「小田原は落ちる。
さすれば、これでわしの天下も、成る。
だが、一つだけ欠けたものがある」
「伊達でございますか」
「左様。あの小僧め。
蘆名を滅ぼして、ここにも参らぬとは、
いい度胸をいたしておる」
「北条を片づけた暁には、
伊達征伐に赴く。
その心づもりでおれ」
「はっ」
-----
伊達政宗(松田龍平)のもとへ兼続から書状が届く。
伊達政宗は、いらいらしながら、
「直江兼続!
よくもまあ、飽きもせず次々と。
ゆくもゆかぬも、
決めるのは、俺だ!」
------
徳川家康と直江兼続が伊達のことで
話をしている。
「全く、伊達も困ったもの。
小僧のくせに、恐れおおくも
殿下の天下統一を阻むとは」
「当家もその件、なんとかせねばと
思うておりました」
「伊達殿が参陣せねば、
次に待つは奥州攻め。
戦が果てしなく続く愚は
避けねばなりませぬゆえ」
「ほう。山城の守、
そちは、本気か?」
「は?」家康の真意を図りかねる兼続。
「いやいやいや」
「まこと伊達を参陣させようとでも?」
本音をもらす徳川家康。
「今、何と?」
「わしも書状を送っておるが、
何の手ごたえもない。
山城の守を見習って、説得を続けねば
ならんな」
しらじらしく言う家康。
----
伊達政宗のもとに、家康、兼続から
それぞれ書状が届く
「家康がまた小田原への参陣は無用と
言うてきた。
秀吉からの催促はすておけ。
徳川が良きように取り計らうとよ」
片倉景綱(曽根悠多)が兼続の書状を差し出す。
「直江から、またも書状が届きましたぞ。」
「まさに大地の動くがごとし。
20万の軍勢が小田原を取り囲む様を
ご自身でご覧なされませ。
さすれば、時代もまた大きく動いておることを
悟られましょう。
生中に生なく、死中に生あり。。
ふ。
さて、わが命運、決する時が来たようだ」
決意の表情の伊達政宗。
廊下ですれ違った愛姫(杏)が、
「殿」と声をかけるが、
見向きもせずに歩き去っていく。
-----
秀吉の陣で、軍議の最中に、
伊達政宗がやってきた。
「伊達政宗、ただ今到着
つかまつりました。
遅参の段、平にご容赦願い奉りまする」
がっくりとする、徳川家康。。。
「こりゃぁ政宗」
ゆっくり立ちあがり、太刀を取ると、
「待ちかねたぞ」
政宗のもとに歩み寄ると、平伏する
政宗に、刀を鞘のまま首に当てる。
「今少し遅ければ、ここがつながって
おらなんだのう」
「恐れ入り奉りまする」
秀吉に屈した伊達政宗は、
遅参の罰として会津領を召しあげられ、
領国に返された。
そして徳川家康もこのことにより、
天下統一の野望をしばらく封印した。
------
そのころ、前田、上杉、真田連合軍は、
八王子城を取り囲んでいた。
降伏の気配がない敵方に対し、
もはや総攻めしかない、という結論に
達した。
そこへ「直江様の陣にて一大事でございます」
との連絡が。
兼続が自分の陣に戻ると、
伊達政宗が来ていた。
「ふん!
腰ぬけの戦いぶりを見に来たのよ。
国へ戻る途中でな。
しかし。。。
この程度の城に手こずるとは。。
総攻めをかけ、皆殺しにすれば
済むことではないか。
それとも。。
これがそなたのやり方か」
「国へ戻るとは。。。
小田原に!
ご参陣なさったのですな。
進言、よくぞお聞きいれ下さいました。
うれしゅうございまする」
「出過ぎたことを申すな!
俺は、そなたに説得などされておらん!
これからも秀吉に屈するつもりはない。
参陣はひとえに俺の判断。
天下への足がかりにすぎぬ。
武士とは、戦うことでしか
生きる意味を勝ちえない。
そうであろう」
「いかにも。
だが、まず戦うべきは、己が心。
武士とはその戦いに勝ち、
どれだけのものを守れるかに命尽くすもの。
守るべきものなくして戦ったとて
何の意味がありましょうか」
「いずれ戦場にて、
その首もらい受ける」
去っていく政宗に声をかける兼続。
「戦場はもうなくなりましょう。
あなた様の御蔭で」
「やめい!」
政宗は腹立たしそうに去って行った。
-----
前田勢が正面から攻め込む隙に、
上杉勢は、搦め手から攻める。
こうして小田原城最後の砦となる
八王子城は、奇襲作戦により陥落した。
-----
秀吉と前田利家。
「八王子城を落としました折も、
徳川配下の軍勢が加勢を致すと、
出張って参りましてな」
「んー。
北条がこのざま、
伊達が寝返り、家康め
あせっておるのではないか?」
「徳川殿には、くれぐれも
お心を許されますな」
秀吉は、ひそひそ声で「わかっておる」
「北条など敵のうちに入らぬ。
まこと手に余るは、徳川よ」
-----
20万の軍勢に取り囲まれた小田原城では、
皆疲れきっていた。
北条氏直が
「もはや降伏あるのみかと」
北条氏政は、「何を言う。
そんな弱気でどうする。
戦はこれからじゃ。
寝返った家康を討ちとるためにも、
われらは、命尽きるまで
戦わねばならぬ」
と、その時、小田原城に
まばゆい光が突然差し込んできた。
「あれは。。?!」
外に出た氏政は驚愕する。
「あれは!」
「城ではないか!」
「いつの間に、あのような城を!」
何万本もの旗が立ち、まばゆいばかりの城が、
小田原城を見下ろしていた。
鬨の声があがり、鉄砲の音が鳴り響く。
輿に載った秀吉と茶々が見物している。
「見えた、見えた!」
「どうじゃ、逢坂では見られぬ景色であろうが」
「はい。
小田原城も随分小そうございますのう。
話に聞いていたのとは大違い」
「はっはっは。
そうであろう。そうであろう。
はっはっは」大笑いする秀吉だった。
秀吉は、憮然とした様子。。。
くやしがる北条氏政。
「おのれ秀吉、おのれ家康!
北条を愚弄しおって!」
北条氏直は、
「今ならまだ間に合います。
この私が責めを負い、
無駄な命を散らすことのなきよう、
御頼み申し上げます」
「何故じゃ。何故、
北条が負けるのだ。
わしは、何を見誤ったというのだ。
何を間違えたというのだ」
泣き崩れる北条氏政。
天正18年7月、北条氏政は切腹。
北条氏直は、高野山に追放された。
徳川家康は、北条の領地であった
関東に移封され、地元三河の地から
切り離された。
石田三成(小栗旬)から申し渡された家康、
「つつしんで承りましてござりまする」
「関白殿下の御言葉、しかと伝えました」
「これは、その方の進言かな?治部少。
相変わらず、よう知恵が回る。
だが、此度は
城一つ落とせなかったそうじゃのう。
戦は甚だ苦手と見える」
皮肉は言ったものの、「ちっ」と舌打ちする家康。
-----
陣から小田原城を見下ろす、景勝と兼続。
「御屋形様にもこれで何とか
顔向けができよう。
われらが小田原落城の宿願を叶えたと」
「八王子城に籠った敵は、
われらの情けも受けず、
誇りを胸に死んでゆきました。
なれど、助けてやりとうございました。
魚津で戦い抜いた、お味方を想わずには
いられなかった」
「義を掲げて戦乱の世を生き抜くことは、
まこと難しいことじゃ。
しかし、われらは、旗印を降ろすことはできぬ。
上杉謙信の子なれば」
「はい。
私は、戦のない世のために
『愛』を掲げ続けます。
そうせねば、上杉の未来を信じて
死んでいった者たちに顔向けできませぬ」
「そうじゃのう」
兼続は、身に着けていた、お船の布袋を
取りだすと、景勝に手渡す。
「皆を連れて参りました。
戦の終わった小田原を共に眺めようと」
そこには、魚津で死んでいった仲間達の
血のついた木札が入っていた。
-----
上杉勢が、春日山に凱旋したのは、11月。
兼続を迎えるお船のお腹は、
また大きくなっていた。
「お船、お松!」
「旦那様。。」
「父は帰ったぞ」
お松を抱き上げる兼続
「終わったぞ。
これでもう、戦は終わる」
関ヶ原の戦いまであと10年。。。
tag:伊達政宗 北条氏政 北条氏直
天正17年11月、秀吉は、北条氏に宣戦布告。
上杉景勝(北村一輝)は、戦を前に
家臣一同の前で告げる。
「よいか者ども、
この戦を、上杉家最後の大戦と心得よ!」
「おおーっつ」と気勢をあげる家臣たち。
----
景勝と直江兼続(妻夫木聡)、
まだ雪の降る外を見ながら、
「関東とは、どのような所でございましょうな。
御屋形様や、信玄公でも落とせなかった
小田原城とは」
「共に出陣したかったのう」
「はい、阿部殿や、吉江様たちが生きていたら
さぞ喜び勇んだ
ことでございましょう」
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お船(常盤貴子)が、兼続に
何やら手作りの布袋を持ってきた。
「これでよろしうございますか」
「おー。立派な出来じゃ。
早速身につけるとしよう」
「手伝いましょう」
「うん」
肌に直に身につける兼続。
「私からは、お守りなどは
差し上げませぬぞ」
「なんじゃ、薄情な」
「何も差し上げずとも
必ずや旦那様は生きてお戻りになる。
私は、そう信じておりますがゆえ」
「お船。。。」
「できました」
「留守を頼むぞ」
「一切、ご案じなきよう」
「長い戦になろう。。。」
お船を抱き寄せる兼続
「お松を。。。皆を頼む」
「はい」
「仲間とともに参る」
胸元の布袋に手をやる兼続だった。
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上杉軍は途中、真田軍、前田軍と
合流し、北国勢として3万5千の軍勢で
北条の松井田城を取り囲んだ。
一方、秀吉軍も
14万の大軍をもって、小田原城を
目指して東海道を進んでいた。
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小田原城では、北条氏政(伊吹吾郎)が、
「小田原城は難攻不落。
天下広しといえども、この城を
落とせるものはない」と自信満々。
遠山康光(螢雪次朗)もそれを受け、
「さよう、11万の大軍をもって攻め来た、
上杉謙信とて追い返したのでございます」
北条氏直(神木優)は心配そうに
「しかし、父上、
敵は20万の大軍と聞き及びます」
「大軍おおいに結構。
あっという間に兵糧が尽き、
自分の首を絞めることとなるわ」
「徳川殿との盟約もある上、
奥州では、伊達も気骨を見せております」
「この戦、一月とは続かぬやもしれぬ」
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松井田城の籠城は一カ月以上続いていたが、
ついに、松井田城の城主、大道寺正繁(ささきいさお)
が降伏してきた。
「それがしの命に代えて、城に残る
家来どもの助命を、
伏してお願い申し上げる」
前田利家はこれを了承し、
「あいわかった。我らもこれ以上
無用の血を流すつもりはござらぬ」
ほっと安心した兼続は、配下の者に
目配せし、酒を用意させる。
「どうぞ召し上がられよ」
「敗軍の将となれば、切腹もゆるされぬのか」
無念そうな大道寺正繁。
「まさか、毒が仕込んであるとでも思われたか」
兼続は、杯をとると、自ら飲み干した。
「敵ながらあっぱれな戦いぶり。
わが主より一献差し上げたく、
用意したものでござる。
越後自慢の酒でござれば、
是非、ご賞味あれ」
それでも飲もうとしない大道寺正繁に、
「ご案じ召されるな。
まもなく配下の者がご城内に
酒と握り飯を運び入れまする」
驚き、感激する大道寺正繁
「まことにございますか」
「かたじけのう、ござりまする」
と、平伏する。
:
その夜、前田利家(宇津井健)、
真田昌幸(岩松了)、上杉景勝、
直江兼続が酒を飲み交わしている
前田利家が感心している。
「敵に礼節をもって接する。
あれぞ上杉の心意気であるな」
「は」
「力によってねじ伏せられたものは、
いつかそれを跳ね返そうといたします。
しかし、真心を持って扱われし者は、
心で返してくれましょう。
これからの世は、
心に響き合うことこそ肝心かと」
「うん、確かにその通りかも知れぬな。
いやあ戦に明け暮れておった自分には
考えたこともなかったわ」
「ま、さすが上杉。
ご立派な話ではございますな」
と真田昌幸。
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小田原の秀吉の本陣。
「これ、待て待て茶々。
これ茶々」
茶々をなだめようとする秀吉。
「こんな城、つまりませぬ」
茶々は機嫌を損ねて、わがまま
を言い放題。
「これこれ茶々」
「まだでき上がってもおらぬでは、
ございませぬか」
「すごいものを見せてやると仰ったから
わざわざ参ったというのに」
「あせるでない、あせるでない
もう、あと幾日でもないわ。のぅ。
おもしろいものを見せてやるでの」
「こんな森の中じゃ何も見えませぬ」
「もちーっと、もちーっとの辛抱じゃ
あの木を今切るわけには参らぬのじゃ」
そこへ、徳川家康(松方弘樹)がやってきた。
茶々をよそへやると、
家康に話しかける。
「貴殿においで頂いたのは、他でもない。
伊達の子倅のことよ。
参陣せよと再三使者を遣わしておるが
未だ返事がない。
貴殿から説得してくれぬか」
「それがしも、
もう何度も書状を送っておりますが」
「北条を下す前に伊達が。。。
伊達がこのようでは。。。。
他の手を考えねばならんでのう」
「それがし、今一度、催促いたしましょう」
「うん、頼む。頼む」
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直江兼続は、松井田城陥落の報告のため、
小田原にやってきた。
兼続は、小田原城と、それを囲む大軍勢に
驚き、感銘を受ける。
兼続に自慢する秀吉。
「これほどの戦を采配できる者など、
古今東西、どこにもおらん」
「その上、あのような城まで。。」
「うん。
あー、兼続、ここへ来い!」
兼続を近くに呼び寄せる秀吉。
「見よ!
わかるか、何故わしが、この森の中に
こっそりと城を作っておるのか」
「はっ、難攻不落の小田原城を
力で攻めても、敵味方、
ともに犠牲がでるばかり」
「んー」
「されど、小田原城を見下ろすあの城が
一夜にして現れれば、敵は驚き
心をくじかれ、戦う気力を失いましょう。
さすれば刃を交えずとも、
戦、消しまする」
「さすがじゃのう、兼続」
「やはり、呑み込みが速いのう。
この世は金じゃ。
金で人は集まる。
金あらばこそ、城も建ち、戦も決する。
それで世がやすらかになるのであれば、
わしは、いくらでも金を使う」
「お見事なるご軍略と心得まする」
「小田原は落ちる。
さすれば、これでわしの天下も、成る。
だが、一つだけ欠けたものがある」
「伊達でございますか」
「左様。あの小僧め。
蘆名を滅ぼして、ここにも参らぬとは、
いい度胸をいたしておる」
「北条を片づけた暁には、
伊達征伐に赴く。
その心づもりでおれ」
「はっ」
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伊達政宗(松田龍平)のもとへ兼続から書状が届く。
伊達政宗は、いらいらしながら、
「直江兼続!
よくもまあ、飽きもせず次々と。
ゆくもゆかぬも、
決めるのは、俺だ!」
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徳川家康と直江兼続が伊達のことで
話をしている。
「全く、伊達も困ったもの。
小僧のくせに、恐れおおくも
殿下の天下統一を阻むとは」
「当家もその件、なんとかせねばと
思うておりました」
「伊達殿が参陣せねば、
次に待つは奥州攻め。
戦が果てしなく続く愚は
避けねばなりませぬゆえ」
「ほう。山城の守、
そちは、本気か?」
「は?」家康の真意を図りかねる兼続。
「いやいやいや」
「まこと伊達を参陣させようとでも?」
本音をもらす徳川家康。
「今、何と?」
「わしも書状を送っておるが、
何の手ごたえもない。
山城の守を見習って、説得を続けねば
ならんな」
しらじらしく言う家康。
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伊達政宗のもとに、家康、兼続から
それぞれ書状が届く
「家康がまた小田原への参陣は無用と
言うてきた。
秀吉からの催促はすておけ。
徳川が良きように取り計らうとよ」
片倉景綱(曽根悠多)が兼続の書状を差し出す。
「直江から、またも書状が届きましたぞ。」
「まさに大地の動くがごとし。
20万の軍勢が小田原を取り囲む様を
ご自身でご覧なされませ。
さすれば、時代もまた大きく動いておることを
悟られましょう。
生中に生なく、死中に生あり。。
ふ。
さて、わが命運、決する時が来たようだ」
決意の表情の伊達政宗。
廊下ですれ違った愛姫(杏)が、
「殿」と声をかけるが、
見向きもせずに歩き去っていく。
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秀吉の陣で、軍議の最中に、
伊達政宗がやってきた。
「伊達政宗、ただ今到着
つかまつりました。
遅参の段、平にご容赦願い奉りまする」
がっくりとする、徳川家康。。。
「こりゃぁ政宗」
ゆっくり立ちあがり、太刀を取ると、
「待ちかねたぞ」
政宗のもとに歩み寄ると、平伏する
政宗に、刀を鞘のまま首に当てる。
「今少し遅ければ、ここがつながって
おらなんだのう」
「恐れ入り奉りまする」
秀吉に屈した伊達政宗は、
遅参の罰として会津領を召しあげられ、
領国に返された。
そして徳川家康もこのことにより、
天下統一の野望をしばらく封印した。
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そのころ、前田、上杉、真田連合軍は、
八王子城を取り囲んでいた。
降伏の気配がない敵方に対し、
もはや総攻めしかない、という結論に
達した。
そこへ「直江様の陣にて一大事でございます」
との連絡が。
兼続が自分の陣に戻ると、
伊達政宗が来ていた。
「ふん!
腰ぬけの戦いぶりを見に来たのよ。
国へ戻る途中でな。
しかし。。。
この程度の城に手こずるとは。。
総攻めをかけ、皆殺しにすれば
済むことではないか。
それとも。。
これがそなたのやり方か」
「国へ戻るとは。。。
小田原に!
ご参陣なさったのですな。
進言、よくぞお聞きいれ下さいました。
うれしゅうございまする」
「出過ぎたことを申すな!
俺は、そなたに説得などされておらん!
これからも秀吉に屈するつもりはない。
参陣はひとえに俺の判断。
天下への足がかりにすぎぬ。
武士とは、戦うことでしか
生きる意味を勝ちえない。
そうであろう」
「いかにも。
だが、まず戦うべきは、己が心。
武士とはその戦いに勝ち、
どれだけのものを守れるかに命尽くすもの。
守るべきものなくして戦ったとて
何の意味がありましょうか」
「いずれ戦場にて、
その首もらい受ける」
去っていく政宗に声をかける兼続。
「戦場はもうなくなりましょう。
あなた様の御蔭で」
「やめい!」
政宗は腹立たしそうに去って行った。
-----
前田勢が正面から攻め込む隙に、
上杉勢は、搦め手から攻める。
こうして小田原城最後の砦となる
八王子城は、奇襲作戦により陥落した。
-----
秀吉と前田利家。
「八王子城を落としました折も、
徳川配下の軍勢が加勢を致すと、
出張って参りましてな」
「んー。
北条がこのざま、
伊達が寝返り、家康め
あせっておるのではないか?」
「徳川殿には、くれぐれも
お心を許されますな」
秀吉は、ひそひそ声で「わかっておる」
「北条など敵のうちに入らぬ。
まこと手に余るは、徳川よ」
-----
20万の軍勢に取り囲まれた小田原城では、
皆疲れきっていた。
北条氏直が
「もはや降伏あるのみかと」
北条氏政は、「何を言う。
そんな弱気でどうする。
戦はこれからじゃ。
寝返った家康を討ちとるためにも、
われらは、命尽きるまで
戦わねばならぬ」
と、その時、小田原城に
まばゆい光が突然差し込んできた。
「あれは。。?!」
外に出た氏政は驚愕する。
「あれは!」
「城ではないか!」
「いつの間に、あのような城を!」
何万本もの旗が立ち、まばゆいばかりの城が、
小田原城を見下ろしていた。
鬨の声があがり、鉄砲の音が鳴り響く。
輿に載った秀吉と茶々が見物している。
「見えた、見えた!」
「どうじゃ、逢坂では見られぬ景色であろうが」
「はい。
小田原城も随分小そうございますのう。
話に聞いていたのとは大違い」
「はっはっは。
そうであろう。そうであろう。
はっはっは」大笑いする秀吉だった。
秀吉は、憮然とした様子。。。
くやしがる北条氏政。
「おのれ秀吉、おのれ家康!
北条を愚弄しおって!」
北条氏直は、
「今ならまだ間に合います。
この私が責めを負い、
無駄な命を散らすことのなきよう、
御頼み申し上げます」
「何故じゃ。何故、
北条が負けるのだ。
わしは、何を見誤ったというのだ。
何を間違えたというのだ」
泣き崩れる北条氏政。
天正18年7月、北条氏政は切腹。
北条氏直は、高野山に追放された。
徳川家康は、北条の領地であった
関東に移封され、地元三河の地から
切り離された。
石田三成(小栗旬)から申し渡された家康、
「つつしんで承りましてござりまする」
「関白殿下の御言葉、しかと伝えました」
「これは、その方の進言かな?治部少。
相変わらず、よう知恵が回る。
だが、此度は
城一つ落とせなかったそうじゃのう。
戦は甚だ苦手と見える」
皮肉は言ったものの、「ちっ」と舌打ちする家康。
-----
陣から小田原城を見下ろす、景勝と兼続。
「御屋形様にもこれで何とか
顔向けができよう。
われらが小田原落城の宿願を叶えたと」
「八王子城に籠った敵は、
われらの情けも受けず、
誇りを胸に死んでゆきました。
なれど、助けてやりとうございました。
魚津で戦い抜いた、お味方を想わずには
いられなかった」
「義を掲げて戦乱の世を生き抜くことは、
まこと難しいことじゃ。
しかし、われらは、旗印を降ろすことはできぬ。
上杉謙信の子なれば」
「はい。
私は、戦のない世のために
『愛』を掲げ続けます。
そうせねば、上杉の未来を信じて
死んでいった者たちに顔向けできませぬ」
「そうじゃのう」
兼続は、身に着けていた、お船の布袋を
取りだすと、景勝に手渡す。
「皆を連れて参りました。
戦の終わった小田原を共に眺めようと」
そこには、魚津で死んでいった仲間達の
血のついた木札が入っていた。
-----
上杉勢が、春日山に凱旋したのは、11月。
兼続を迎えるお船のお腹は、
また大きくなっていた。
「お船、お松!」
「旦那様。。」
「父は帰ったぞ」
お松を抱き上げる兼続
「終わったぞ。
これでもう、戦は終わる」
関ヶ原の戦いまであと10年。。。
tag:伊達政宗 北条氏政 北条氏直
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