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第25回 天地人あらすじ「天下人の誘惑」6/21
大河ドラマ天地人 第25話「天下人の誘惑」(6月21日放送)
倒れた上杉景勝(北村一輝)に代わり、
前田家には直江兼続(妻夫木聡)が名代として出席した。
その見事な才覚ぶりを前田利家(宇津井健)や
列席の者たちは感心することしきり。
-----
前田利家と秀吉(笹野高史)
「直江という男、殿下の仰せのとおり、
ただ面白いだけでは、ござりませぬな。」
「で、あろう?」
「知恵者にして大胆。しかし、
その懐にするりと入り込むこと、
すがすがしき風が吹くごとし。」
「何者をも包み込むようなあやつの人となりに、
さすがの三成も参ったようじゃ。」
-----
景勝の頭痛も回復し、
お涼(木村佳乃)が、兼続の才覚の見事さを褒めていると、
関白秀吉から、大阪城へ招待がくる。
なんと、兼続1人を招待するとのこと。
-----
大阪城の天主で、腕相撲をする
秀吉と利家。
「わしは、もう片手には確かな力を持っておる。
『理』の三成よ。
じゃが、もう一つの力。
天下を治めるための、もう一つの力が欲しい。
『情』と『理』、
この二つが揃えば、盤石よ。」
「殿下、
まさか、直江を。。。
いや、直江は上杉の忠臣
いかに関白様とて、
あの二人を引き裂くことなど。」
「ならぬか?」
-----
その頃、徳川家康は、重臣たち、
酒井忠次、榊原康政、本多正信(松山政路)、
井伊直政らと、
宿老・石川数正が出奔し、
秀吉に臣従したために受けた打撃を
憂いていた。
「秀吉。。恐ろしい男よ。。
人を笑わせながら、
心底では、人を笑っておる。」
------
大阪城に呼ばれた兼続は、秀吉に
思いがけない人物に引き合わされた。
「幸村。。」真田幸村(城田優)であった。
「知ってるであろう。真田幸村じゃ。
真田が人質として差し出してよこした。」
「なんと」
「上杉よりも、わしの方が頼りになると
思ったのであろう?
さすが、世渡り上手の真田よのう。」
:
「さて、そこでじゃ。
のう兼続。そなたも、わしに仕えぬか?」
「は?」
「ゆくゆくは、大名にも取り立ててやろう。
ん?
そうするが〜得策じゃと思うがのう〜。
か・ね・つ・ぐぅ〜。」
返事をしようとしない兼続に、
急に冷やかな顔になり、
「もしならねば、上杉にどんな災いが
及ぶやも知れんぞ!」
機転をきかした兼続、にっこりすると、
「殿下のお心使い、いつもながら恐れ入るばかり」
「ん?」
「陪臣のわたしごときまで、
おたわむれで笑わせようとして下さる」
「戯れ?」
「殿下より賜りし、温かきお言葉、
早速、わが主、景勝にも申し伝えまする。」
「おお、そうじゃ、そうじゃ。景勝じゃ。
景勝はどうじゃ。病と聞いたが。」
「もはや大事ございませぬ。
本日も、参上できたのでございますが。」
「いやいやいや、無理をさせてはならぬ。
主をいたわるも家臣の勤めぞ。」
「はっ」
-----
徳川・北条から真田を守ってもらうため、
人質として秀吉のもとにきた幸村であった。
秀吉は、幸村に真田は信用できないので
何か証が欲しいという。
「兼続と親しいのであろうが。
ここを使って、手柄を立ててみよ。
褒美に糸目はつけぬぞ。」
-----
宿所の本国寺に戻った兼続は、幸村が
秀吉に臣従していることを景勝に詫びる。
「まことに面目なき次第。
あやつはまだ二十歳。親に命ぜられ、
関白に迎え入れられれば、抗うすべもございますまい。
どうか幸村のことは、お許しを。」
「もうよい、わかっておる。
この上方では、われらさえ、戸惑っておる。
幸村を責めることはできぬ。」
「しかし、わしはやはり、関白のやり方に
合点がいかぬ。なぜ、ここまで
人と人との絆を断ち切ろうとするのか。。。」
-----
秀吉と利家。
「上杉もそろそろ国に帰るの」
「そうですなあ」
「上洛の労をねぎろうて、茶会でも開いてやろうと思う」
「おお、それは。
景勝殿もさぞ喜ぶことでしょう。」
「金がかかるのう。」
「は?」
「わしが天下一と見込んだ茶器を
万座の中で買うのじゃからの。」
「殿下。それは。。」
「さて、と、支度は整った。」
-----
その夜、猿飛佐助(白倉裕二)が幸村のもとに報告に来た。
「いかがした。」
「一大事でございます。」
「上杉の宿所に?」
「は」
-----
ここは、本国寺。
鈴の音が聞こえる。
「誰かいるのか?」
兼続が表に出ると、
雨の中、初音(長澤まさみ)がふらふらとやってきた。
倒れこむ初音。
「初音殿」「初音殿!」
「兼続さま。。」
そのまま兼続の腕の中で崩れ落ちる。
:
部屋に寝かされた初音の目が覚めた。
「何があったのじゃ。」
「お許しくださいませ。追われております。」
「誰に?」
答えない初音。
「案ずるな。
しばしの間、ここにおればよい。」
「申し訳ございませぬ。」頭を下げる初音。
「かまわぬ」
「幸村と大阪城で会うたぞ」
「われらは、兼続様にさげすまれて当然でございます」
「いや、幸村が哀れであった」
「まだ、そのように言ってくださるのですか」
「あやつはわしの弟子よ。
弟子は信じてやらねばの」
「兼続さま。。」
そこへ、何者かの気配。。
兼続が表に出ると、手裏剣が飛んできた。
部屋の中に兼続を引き戻す初音。
「真田の忍びです。隠れて」
そこへ、真田幸村がやってきた。
初音を引き渡せという。
「父は、北条氏政ともよしみを通ずるため、
姉を北条氏政のもとへ、行かせたのでございます。
ですが、姉は逃げ出した。
氏政は激怒しております。」
「初音殿をどうするつもりだ。」
「始末致します。」
「何を申す!」
「直江様には関わりござらぬ。これはわが身内のこと」
「幸村!」
「お引き渡しを!」
「断る」
「ならば」
「幸村、初音殿は、お主の姉だろうが!」
「姉だろうが何だろうが、
始末せねば、氏政が納得致しませぬ。」
「人の心を無くしたか!
初音殿は渡さぬ。立ち去るがよい。」
去ろうとする兼続に、突然頭を下げる幸村。
「直江様、お願いでございます。
どうか、関白殿下の家臣となって下さりませ。」
「何?」
「お願いでございまする。」
「何故、お主がそのようなことを。」
「関白殿下は、あなた様を家臣にできたら
私に何なりと褒美を下さると申されました。
わたくしは、褒美に姉の命をお助け頂く所存。
父とて、天下人の命とあらば、
従わざるをえませぬ。
どうか、この通りでございます。」
「関白殿下が、まことそう仰せになったのか。」
「は」
「どうか、お願いでございます。」
「できぬ!」
「直江様。姉が何故、北条から逃げたかお分かりか。
あなた様ゆえでございます。
直江様に惚れて、人を信じたり、人を想ったり、
そんなことにあこがれたばかりに、
もう忍びではいられなくなってしまった。
お願いでございます。」
:
秀吉の言葉を思い出す兼続。。
初音の部屋に戻った兼続は、
「初音殿、そなたは決してここを動いてはならぬ。
真田を捨て、一人でも生きていけるところを
探してみよう。今宵はここにおれ。
安心して休むがよい。」
「はい」
部屋の外で寝ずの番をする兼続。
障子越しに幸せそうに見つめる初音だったが、
ためいきをつき、うつむいてしまう。
-----
翌朝、お涼に初音のことを頼む兼続
「それほど大事なお人なのですか?
「どのような素性の方なのです?」
「申せぬ」
「それではお世話のしようがございません。」
「頼む、お涼どの。そなたを置いて、
他に頼む者がおらぬのじゃ。」
「わかりました。
そこまでおっしゃるなら、
心あたりがないではございません」
「かたじけない。恩にきる」
「好いた殿御のためでございます。」
-----
加藤清正の屋敷に招かれた兼続は、
福島正則(石原良純)に話しかけられる。
「お主は田舎者と思っておったが、
タダものじゃないの。
それに皆で噂しておるぞ。
お主が、上杉の主のようじゃと」
-----
千利休(神山繁)が、上杉景勝の宿所、
本國寺を尋ねてきた。
茶をふるまわれる景勝。
何の用かと尋ねる景勝に、
「用など別に。。ただ。。
わが娘よりあなた様のことをお聞きし、
どんなお方か、この目で見ておきとうございました」
「この茶碗は今、
上方の数寄者(すきしゃ)たちにとっては、
垂涎(すいぜん)の器で。
わたくしが、金に糸目をつけずに手に入れてございます。
わたくしは関白殿下に
よう似たところがございましてな。
欲しいものは必ず手に入れる。
たとえどんな手を使うても。
関白殿下は、今、上方で評判の器に
ご執心でございます。
お売りなされますか?景勝様。
相手はどんな高値をつけても
食らいついてきますぞ。」
「いらぬ詮索は無用にございます。
まこと、見事な器。
しかし、所詮、器は器。人にあらず。
お知らせ頂き、かたじけのう存ずる」
「あなたさまは、娘の申すごとく、まこと愚直。
あ、いや。愚直も極めれば、何とすがすがしい。
もしお許し頂けますなら、
またお尋ねいたしとう存じます」
「わが命、永らえてあれば、是非に」
-----
その頃初音は、別れの悲しみをこらえ、
兼続との想い出を胸にしながら、
宿所から姿を消す。
夜、石田三成が急にやってくる。
「石田殿、いかがなされた」
「女子を探しているらしいな」
「何故そのような。。」
「すぐにやめさせろ。噂になる」
「しかし」
「黙って言うとおりにしろ」
障子を閉め、三成のそばに座る兼続
「どういうことだ」
「誰をかくまっていた」
「言えぬ」
「真田の女子か」
驚く兼続
「忍びの女子など捨て置け」
「何を申す!」
「お前、自分の立場を分かっているのか?
真田ともめ事を起こして何になる。
こんな所でつけこまれたら、
謙信公以来の武勇、都での苦労も水の泡だぞ」
「いや、違う。
女子ひとり救えぬようで、何が武勇か」
「上杉を守りたい。お前は手を引け」
「引かぬ!」
「初音は!… 必ず俺が探し出す。
昔なじみだ。
何としても探し出す」
「明日の茶会、関白殿下は、
上杉景勝様の前で、万座の中で、
お前を我が家臣にと所望されるはず。
お前は、初音を気にせず渡り合え」
「石田殿。。。」
「後はお前の。。
相手は天下の豊臣秀吉。
戦では手に入らぬものを手に入れるお方だ。
10万の軍勢を動かさずとも、
ひそかに相手の心のほころびを突き、
おのが意のままにあやつろうとする。
左様な戦を、ここでは政(まつりごと)と呼ぶ。
ならば、この戦、負けるわけにはいかぬな。
上方風の政とやらがすべてではないと、
見せつけねばならぬからな」
-----
大阪城の天守で月を眺める秀吉。
同じころ、宿所では景勝も月を眺めていた。
兼続がやってきて横に座る。
景勝がひとり言のように、
「謙信公が仰せであった。
都の月をまた見たいものじゃと」
「殿、明日の茶会の件で申し上げねば
ならぬことがございます」
「大方知っておる」
「左様でございましたか」
「越後のため、民を守るため、ひいては
天下の安寧のためと、上洛致しましたが、
われらは、関白殿下を買被りすぎたようで
ございます」
「兼続、お主の好きにするがよい。
何があろうとも、責めはわしが負うてやる」
「ありがとうございまする。
なれば、ひとつお願いが。
もし、万一わたしが関白殿下に対し、
あまりの無礼を働きました時は、どうか、
私の首一つで、事をお治め下さいませ」
立ちあがって庭におりる景勝。
「兼続、これは戦じゃな」
「御意」
「ならば案ずるな。
戦では、そちよりわしの方が上じゃ」
「いえいえそれはまた、見当違いかと。」
「へらず口を叩くな。」
「へらず口ではございませぬ」
「全く。上方衆は、
お主の何を買いかぶっておるのかの。」
「まこと」
「まあ良い。秀吉には負けぬ」
「仰せの通りにございまする」
tag:真田幸村 / 初音 / 千利休 / 上杉景勝 / 天地人 / あらすじ
倒れた上杉景勝(北村一輝)に代わり、
前田家には直江兼続(妻夫木聡)が名代として出席した。
その見事な才覚ぶりを前田利家(宇津井健)や
列席の者たちは感心することしきり。
-----
前田利家と秀吉(笹野高史)
「直江という男、殿下の仰せのとおり、
ただ面白いだけでは、ござりませぬな。」
「で、あろう?」
「知恵者にして大胆。しかし、
その懐にするりと入り込むこと、
すがすがしき風が吹くごとし。」
「何者をも包み込むようなあやつの人となりに、
さすがの三成も参ったようじゃ。」
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景勝の頭痛も回復し、
お涼(木村佳乃)が、兼続の才覚の見事さを褒めていると、
関白秀吉から、大阪城へ招待がくる。
なんと、兼続1人を招待するとのこと。
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大阪城の天主で、腕相撲をする
秀吉と利家。
「わしは、もう片手には確かな力を持っておる。
『理』の三成よ。
じゃが、もう一つの力。
天下を治めるための、もう一つの力が欲しい。
『情』と『理』、
この二つが揃えば、盤石よ。」
「殿下、
まさか、直江を。。。
いや、直江は上杉の忠臣
いかに関白様とて、
あの二人を引き裂くことなど。」
「ならぬか?」
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その頃、徳川家康は、重臣たち、
酒井忠次、榊原康政、本多正信(松山政路)、
井伊直政らと、
宿老・石川数正が出奔し、
秀吉に臣従したために受けた打撃を
憂いていた。
「秀吉。。恐ろしい男よ。。
人を笑わせながら、
心底では、人を笑っておる。」
------
大阪城に呼ばれた兼続は、秀吉に
思いがけない人物に引き合わされた。
「幸村。。」真田幸村(城田優)であった。
「知ってるであろう。真田幸村じゃ。
真田が人質として差し出してよこした。」
「なんと」
「上杉よりも、わしの方が頼りになると
思ったのであろう?
さすが、世渡り上手の真田よのう。」
:
「さて、そこでじゃ。
のう兼続。そなたも、わしに仕えぬか?」
「は?」
「ゆくゆくは、大名にも取り立ててやろう。
ん?
そうするが〜得策じゃと思うがのう〜。
か・ね・つ・ぐぅ〜。」
返事をしようとしない兼続に、
急に冷やかな顔になり、
「もしならねば、上杉にどんな災いが
及ぶやも知れんぞ!」
機転をきかした兼続、にっこりすると、
「殿下のお心使い、いつもながら恐れ入るばかり」
「ん?」
「陪臣のわたしごときまで、
おたわむれで笑わせようとして下さる」
「戯れ?」
「殿下より賜りし、温かきお言葉、
早速、わが主、景勝にも申し伝えまする。」
「おお、そうじゃ、そうじゃ。景勝じゃ。
景勝はどうじゃ。病と聞いたが。」
「もはや大事ございませぬ。
本日も、参上できたのでございますが。」
「いやいやいや、無理をさせてはならぬ。
主をいたわるも家臣の勤めぞ。」
「はっ」
-----
徳川・北条から真田を守ってもらうため、
人質として秀吉のもとにきた幸村であった。
秀吉は、幸村に真田は信用できないので
何か証が欲しいという。
「兼続と親しいのであろうが。
ここを使って、手柄を立ててみよ。
褒美に糸目はつけぬぞ。」
-----
宿所の本国寺に戻った兼続は、幸村が
秀吉に臣従していることを景勝に詫びる。
「まことに面目なき次第。
あやつはまだ二十歳。親に命ぜられ、
関白に迎え入れられれば、抗うすべもございますまい。
どうか幸村のことは、お許しを。」
「もうよい、わかっておる。
この上方では、われらさえ、戸惑っておる。
幸村を責めることはできぬ。」
「しかし、わしはやはり、関白のやり方に
合点がいかぬ。なぜ、ここまで
人と人との絆を断ち切ろうとするのか。。。」
-----
秀吉と利家。
「上杉もそろそろ国に帰るの」
「そうですなあ」
「上洛の労をねぎろうて、茶会でも開いてやろうと思う」
「おお、それは。
景勝殿もさぞ喜ぶことでしょう。」
「金がかかるのう。」
「は?」
「わしが天下一と見込んだ茶器を
万座の中で買うのじゃからの。」
「殿下。それは。。」
「さて、と、支度は整った。」
-----
その夜、猿飛佐助(白倉裕二)が幸村のもとに報告に来た。
「いかがした。」
「一大事でございます。」
「上杉の宿所に?」
「は」
-----
ここは、本国寺。
鈴の音が聞こえる。
「誰かいるのか?」
兼続が表に出ると、
雨の中、初音(長澤まさみ)がふらふらとやってきた。
倒れこむ初音。
「初音殿」「初音殿!」
「兼続さま。。」
そのまま兼続の腕の中で崩れ落ちる。
:
部屋に寝かされた初音の目が覚めた。
「何があったのじゃ。」
「お許しくださいませ。追われております。」
「誰に?」
答えない初音。
「案ずるな。
しばしの間、ここにおればよい。」
「申し訳ございませぬ。」頭を下げる初音。
「かまわぬ」
「幸村と大阪城で会うたぞ」
「われらは、兼続様にさげすまれて当然でございます」
「いや、幸村が哀れであった」
「まだ、そのように言ってくださるのですか」
「あやつはわしの弟子よ。
弟子は信じてやらねばの」
「兼続さま。。」
そこへ、何者かの気配。。
兼続が表に出ると、手裏剣が飛んできた。
部屋の中に兼続を引き戻す初音。
「真田の忍びです。隠れて」
そこへ、真田幸村がやってきた。
初音を引き渡せという。
「父は、北条氏政ともよしみを通ずるため、
姉を北条氏政のもとへ、行かせたのでございます。
ですが、姉は逃げ出した。
氏政は激怒しております。」
「初音殿をどうするつもりだ。」
「始末致します。」
「何を申す!」
「直江様には関わりござらぬ。これはわが身内のこと」
「幸村!」
「お引き渡しを!」
「断る」
「ならば」
「幸村、初音殿は、お主の姉だろうが!」
「姉だろうが何だろうが、
始末せねば、氏政が納得致しませぬ。」
「人の心を無くしたか!
初音殿は渡さぬ。立ち去るがよい。」
去ろうとする兼続に、突然頭を下げる幸村。
「直江様、お願いでございます。
どうか、関白殿下の家臣となって下さりませ。」
「何?」
「お願いでございまする。」
「何故、お主がそのようなことを。」
「関白殿下は、あなた様を家臣にできたら
私に何なりと褒美を下さると申されました。
わたくしは、褒美に姉の命をお助け頂く所存。
父とて、天下人の命とあらば、
従わざるをえませぬ。
どうか、この通りでございます。」
「関白殿下が、まことそう仰せになったのか。」
「は」
「どうか、お願いでございます。」
「できぬ!」
「直江様。姉が何故、北条から逃げたかお分かりか。
あなた様ゆえでございます。
直江様に惚れて、人を信じたり、人を想ったり、
そんなことにあこがれたばかりに、
もう忍びではいられなくなってしまった。
お願いでございます。」
:
秀吉の言葉を思い出す兼続。。
初音の部屋に戻った兼続は、
「初音殿、そなたは決してここを動いてはならぬ。
真田を捨て、一人でも生きていけるところを
探してみよう。今宵はここにおれ。
安心して休むがよい。」
「はい」
部屋の外で寝ずの番をする兼続。
障子越しに幸せそうに見つめる初音だったが、
ためいきをつき、うつむいてしまう。
-----
翌朝、お涼に初音のことを頼む兼続
「それほど大事なお人なのですか?
「どのような素性の方なのです?」
「申せぬ」
「それではお世話のしようがございません。」
「頼む、お涼どの。そなたを置いて、
他に頼む者がおらぬのじゃ。」
「わかりました。
そこまでおっしゃるなら、
心あたりがないではございません」
「かたじけない。恩にきる」
「好いた殿御のためでございます。」
-----
加藤清正の屋敷に招かれた兼続は、
福島正則(石原良純)に話しかけられる。
「お主は田舎者と思っておったが、
タダものじゃないの。
それに皆で噂しておるぞ。
お主が、上杉の主のようじゃと」
-----
千利休(神山繁)が、上杉景勝の宿所、
本國寺を尋ねてきた。
茶をふるまわれる景勝。
何の用かと尋ねる景勝に、
「用など別に。。ただ。。
わが娘よりあなた様のことをお聞きし、
どんなお方か、この目で見ておきとうございました」
「この茶碗は今、
上方の数寄者(すきしゃ)たちにとっては、
垂涎(すいぜん)の器で。
わたくしが、金に糸目をつけずに手に入れてございます。
わたくしは関白殿下に
よう似たところがございましてな。
欲しいものは必ず手に入れる。
たとえどんな手を使うても。
関白殿下は、今、上方で評判の器に
ご執心でございます。
お売りなされますか?景勝様。
相手はどんな高値をつけても
食らいついてきますぞ。」
「いらぬ詮索は無用にございます。
まこと、見事な器。
しかし、所詮、器は器。人にあらず。
お知らせ頂き、かたじけのう存ずる」
「あなたさまは、娘の申すごとく、まこと愚直。
あ、いや。愚直も極めれば、何とすがすがしい。
もしお許し頂けますなら、
またお尋ねいたしとう存じます」
「わが命、永らえてあれば、是非に」
-----
その頃初音は、別れの悲しみをこらえ、
兼続との想い出を胸にしながら、
宿所から姿を消す。
夜、石田三成が急にやってくる。
「石田殿、いかがなされた」
「女子を探しているらしいな」
「何故そのような。。」
「すぐにやめさせろ。噂になる」
「しかし」
「黙って言うとおりにしろ」
障子を閉め、三成のそばに座る兼続
「どういうことだ」
「誰をかくまっていた」
「言えぬ」
「真田の女子か」
驚く兼続
「忍びの女子など捨て置け」
「何を申す!」
「お前、自分の立場を分かっているのか?
真田ともめ事を起こして何になる。
こんな所でつけこまれたら、
謙信公以来の武勇、都での苦労も水の泡だぞ」
「いや、違う。
女子ひとり救えぬようで、何が武勇か」
「上杉を守りたい。お前は手を引け」
「引かぬ!」
「初音は!… 必ず俺が探し出す。
昔なじみだ。
何としても探し出す」
「明日の茶会、関白殿下は、
上杉景勝様の前で、万座の中で、
お前を我が家臣にと所望されるはず。
お前は、初音を気にせず渡り合え」
「石田殿。。。」
「後はお前の。。
相手は天下の豊臣秀吉。
戦では手に入らぬものを手に入れるお方だ。
10万の軍勢を動かさずとも、
ひそかに相手の心のほころびを突き、
おのが意のままにあやつろうとする。
左様な戦を、ここでは政(まつりごと)と呼ぶ。
ならば、この戦、負けるわけにはいかぬな。
上方風の政とやらがすべてではないと、
見せつけねばならぬからな」
-----
大阪城の天守で月を眺める秀吉。
同じころ、宿所では景勝も月を眺めていた。
兼続がやってきて横に座る。
景勝がひとり言のように、
「謙信公が仰せであった。
都の月をまた見たいものじゃと」
「殿、明日の茶会の件で申し上げねば
ならぬことがございます」
「大方知っておる」
「左様でございましたか」
「越後のため、民を守るため、ひいては
天下の安寧のためと、上洛致しましたが、
われらは、関白殿下を買被りすぎたようで
ございます」
「兼続、お主の好きにするがよい。
何があろうとも、責めはわしが負うてやる」
「ありがとうございまする。
なれば、ひとつお願いが。
もし、万一わたしが関白殿下に対し、
あまりの無礼を働きました時は、どうか、
私の首一つで、事をお治め下さいませ」
立ちあがって庭におりる景勝。
「兼続、これは戦じゃな」
「御意」
「ならば案ずるな。
戦では、そちよりわしの方が上じゃ」
「いえいえそれはまた、見当違いかと。」
「へらず口を叩くな。」
「へらず口ではございませぬ」
「全く。上方衆は、
お主の何を買いかぶっておるのかの。」
「まこと」
「まあ良い。秀吉には負けぬ」
「仰せの通りにございまする」
tag:真田幸村 / 初音 / 千利休 / 上杉景勝 / 天地人 / あらすじ
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第40回 天地人あらすじ「上杉転落」10/4
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第39回 天地人あらすじ「三成の遺言」9/27
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第38回 天地人あらすじ「ふたつの関ヶ原」9/20
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第37回 天地人あらすじ「家康への挑戦状」9/13
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第36回 天地人あらすじ「史上最大の密約」9/6
大河ドラマ天地人 第36話「史上最大の密約」(9月6日放送)
慶長4年閏3月3日、前田利家が亡くなったその夜、
福島正則(石原良純)、加藤清正(高橋努)、
黒田長政、細川忠興、浅野幸長、池田・・・
第35回 天地人あらすじ「家康の陰謀」8/30
大河ドラマ天地人 第35話「家康の陰謀」(8月30日放送)
直江兼続(妻夫木聡)が、
父・樋口惣右衛門(高嶋政伸)を連れて、
山の上から若松城を遠く眺めている。
「あれがわれらが新しい・・・
第34回 天地人あらすじ「さらば、越後」8/23
大河ドラマ天地人 第34話「さらば、越後」(8月23日放送)
京の屋敷で仕事をしている直江兼続(妻夫木聡)。
お船(常盤貴子)と話していると、
石田三成(小栗旬)からの急な使者。
呼び・・・
第33回 天地人あらすじ「五人の兼続」8/16
大河ドラマ天地人 第33話「五人の兼続」(8月16日放送)
直江兼続(妻夫木聡)が家老になって15年、今や
上杉家の重要事は兼続がすべて采配していた。
この日も、兼続が多くの指図をして、・・・
第32回 天地人あらすじ「世継ぎの運命(さだめ)」8/9
大河ドラマ天地人 第32話「世継ぎの運命(さだめ)」(8月9日放送)
朝鮮、明国との戦のため、海を渡った上杉景勝(北村一輝)たちは、
熊川(ウンチョン)で城普請にあたっていたが、
戦況はおも・・・
第31回 天地人あらすじ「愛の花戦(はないくさ)」8/2
大河ドラマ天地人 第31話「愛の花戦(はないくさ)」(8月2日放送)
天正19年7月、菊姫とお船を京に送り出した
上杉景勝(北村一輝)と直江兼続(妻夫木聡)は、
出羽庄内の一揆鎮圧のため出兵・・・
第30回 天地人あらすじ「女たちの上洛」7/26
大河ドラマ天地人 第30話「女たちの上洛」(7月26日放送)
戦が終わったことを喜ぶ、
直江兼続(妻夫木聡)とお船(常盤貴子)
だが兼続には、気がかりなことがあった。
関白秀吉(笹・・・
第29回 天地人あらすじ「天下統一」7/19
大河ドラマ天地人 第29話「天下統一」(7月19日放送)
天正17年11月、秀吉は、北条氏に宣戦布告。
上杉景勝(北村一輝)は、戦を前に
家臣一同の前で告げる。
「よいか者ども・・・
第28回 天地人あらすじ「北の独眼竜」7/12
大河ドラマ天地人 第28話「北の独眼竜」(7月12日放送)
天正17年3月、お船(常盤貴子)は
出産を控えて春日山から与板城に戻っていた。
樋口惣右衛門(高嶋政伸)と
後妻・およし(西・・・
第27回 天地人あらすじ「与六と与七」7/5
大河ドラマ天地人 第27話「与六と与七」(7月5日放送)
天正15年10月、上杉景勝(北村一輝)は、
越後全土を平定した。
父・樋口惣右衛門(高嶋政伸)と
後妻・およし(西原亜希)・・・














